新しい交通・通信技術が開発され、それが社会に普及していくことにより人間のコミュニケーション行動の自由度は飛躍的に増大します。コミュニケーション技術の革新は、人間が情報や知識をより早く、より効率的に伝播することを可能にするだけではなく、異なる地域に立地する活動のさまざまな結びつきの可能性を拡げます。拡大されたコミュニケーションの可能性は、人間のコミュニケーション行動に多大な影響を及ぼしながら、社会システム自体の構造変化を引き起こしています。
多くの交通行動において、交通主体は他人の意志と無関係にその行動のすべてを決定できるものではなく、多かれ少なかれ、他人の意志が交通行動の決定に関与しています。特に、フェイス・ツゥ・フェイスのコミュニケーションでは、相手とミーティングに関する合意を形成することが前提となります。
本研究では、知識社会における重要なコミュニケーション行動であるミーティングに着目し、参加主体間の相互作用から生じる戦略的補完性を考慮したモデル化の方法とミーティングを支える交通基盤整備や交通政策に関して検討を行っています。
関連論文
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松島格也,福山敬,小林潔司,1998,個人の異質性を考慮したコミュニケーション均衡に関する研究,応用地域学研究,Vol. 3,pp.151-164.
奥村誠,永野光三,小林潔司,1998,始業時刻の設定が鉄道通勤交通に及ぼす影響に関する研究,土木計画学研究・論文集,No.15,pp.831-840.
秀島栄三,小林潔司,1998,地方公共財供給における自治体間の自発的協力形成に関するモデル分析,第33回都市計画学会論文集,pp. 19-24.
奥村誠,小林潔司,田中成興,1999,時差出勤の社会的便益と導入インセンティブに関する研究,応用地域学研究,Vol.4,pp.63-75.
松島格也,小林潔司,1999,タクシー・サービスのスポット市場均衡に関する研究,土木計画学研究・論文集,No.16,pp.591-600.
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松島格也,小林潔司,2000,混雑費用を考慮したタクシースポット市場の内生的形成,第35回都市計画学会論文集,pp. 547-552.
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小林潔司,松島格也,菱田憲輔,2008,予約システムの経済便益評価,土木学会論文集D, Vol.64, No.2, pp.299-318.
田村亨、小林潔司,五十川泰史、森谷隆一、2008,地域の自立的発展のためのモビリティ確保にむけた施策のあり方に関する事例研究 、土木計画学・講演集
最終更新日 2013年5月06日(月曜)20:32